【感想】コレって何ハラよ?〜辻村深月『闇祓』を読んで〜※ネタバレなし
ご訪問ありがとうございます。
辻村深月さんの『闇祓』、読み終わりました〜!
1章の感想、2・3章の感想は忘れないためにもその都度投稿させてもらいました。
今回も4・最終章を読んだ感想を記していきます。
4・最終章は前半部分が繋がっていく展開なので、1〜3章で感じたことも含めて全体的な感想になると思います。
ネタバレは極力しないようにしますのでご安心を!
よろしくお願いします。
4章に入るとすぐに「やっときたか…」と感じました。
何がきたかといえば、1〜3章の繋がりがきたのです。
1章はある転校生が来てからの壮絶体験。
2章はある団地に引っ越してきた家族に起きたママ友関係の恐怖体験。
3章は上司に恵まれないある会社員の絶望体験。
4章は転校してきた児童の発言から周りが変わってしまう宗教の様な体験の話なのですが、それぞれ別々の話が4章で繋がりを持ち始めるのです。
1章の終わりが行方不明の友人を探しにいきたい…ってところで終わったので、いつ1章の話が繋がってくるのか楽しみだったんです。
私は本を読むことが得意な方ではないので1〜3章がやや長く感じられました。
もう少し早い段階で繋がりをほのめかしてくれればいいのに〜って。
でも、前半部分で飽きずに後半まで読み進められたのは辻村深月さんの表現力のおかげかなと思います。
一つひとつの文章がとても読みやすく頭に入ってきやすい表現でした。
さて、物語は最終章でいろんな謎が解けていくわけですが、多くの「え?なんで?」を残して物語は終結します。
一見関係ないことのように思える事件や事故が、実は繋がっていたりして…
コレこそが『闇』。
『闇』を作り出す人物は誰だ?と考えても無駄。
じわじわと周りを侵食していく『闇』。
まさに悪魔のようです。
この悪魔、私の周りにもあなたの周りにもいますよね?
当然この物語はフィクションですので現実には闇を祓う仕事をする人はいないのでしょうけど、現実世界に知らず知らずの内に他人に悪影響を及ぼしている人物は実在します。
この人がいると場の空気が悪くなる…
この人と話すとイライラする…
この人といるとマウントの取り合いになる…
その人が元凶なのか、その人に影響を与えた人が元凶なのか…
ハラスメントに敏感な現代の日本にはピッタリな作品に仕上がっていると思います。
お子様の学校で、
旦那様の仕事場で、
奥様のコミュニティで、
どこにでも起きうる『闇ハラスメント』。
もし自分の身に起きたらと思うとゾッとします。
1章での澪と友人たちの会話が、最終章を読み終えた私の頭から離れません。
「これって”なんとかハラスメント”じゃない?」
セクハラやパワハラ、マタハラにモラハラ等々、多くのハラスメントが叫ばれている中、すごく嫌な思いになる名前のないハラスメントがまだまだあるはずです。
ハラスメントの種類を全て覚えることは必要なくても、「コレって何ハラ?」と思われるような事象に関しては敏感になるべきだと感じます。
学生の就職試験で最も大切とされる性格に”職場で良好な人間関係を築けるか?”というものがあります。
「コレって何ハラ?」となるようなことをしないように、そして、されないようにするためには、結局のところ日頃の人間関係を良好に保つことが大切なのだろうと感じました。
とは言え、周りに確実に『闇』を持つ人は存在するわけです。
疲れるわけですよね。
正解もゴールもない人間関係の荒波の中をみんな生きているわけですから。
「よしっ決めた!周りに優しさを与えられる人間になろう!」